モンゴルといえば、日本人には親しみを感じる国である。モンゴルから来た相撲選手が人気を集め、朝青龍の連勝を励ますパーティに招待された時に、日本の国会議員が20名以上、大勢の名人達も参加して盛り上げていたのを見てびっくりした。日本人には蒙古斑があるといわれ、文化的にもつながりがあるだろうが、東アジアのなかで日本との揉めことが少ない唯一の近隣国がモンゴルである。
そのモンゴルが今は市場経済の波に乗り出して、好調な経済成長でわくわくしているが、そこには日本の陰は薄く、中国の影響は益々強まっている。3年前モンゴル訪問の際に外務省関係者達に話を聞いたら、「日本のODAには感謝するが、直接投資や輸出市場提供がもっと好ましい」と言う。モンゴルに投資する日本企業は少なく、中国企業の投資の1割程度という。市街には中国人観光客で溢れ、中国製品や中国レストランが目立つ。
中国化しているモンゴル経済の現状について、モンゴル人の一部は不安を感じているものの、経済成長率が8.4%(2006年)達成できたのは中国経済のダイナミズムの影響だと考えている人が多い。対外投資貿易促進機構のS.オトゴンバト副主席は、「モンゴルはカナダのようで、モンゴルと中国が連携すれば、カナダと米国のような関係になりうる」という。10年か20年後はそれが現実になるかも。
今年は「モンゴルにおける日本年」であり、政府も民間も両国交流活性化に力を入れている。日本人のなかでモンゴルが好きという人は多いかも知れないが、実際にモンゴルを訪れる人数がそれほど多くない。今年の4月に北陸大学の入学式の際、バガバンディ前大統領をお招きして講演会まで開催したが、夏休みのモンゴル訪問プログラムへの参加希望者は少なく、寂しさを感じる。
『北陸中日新聞』2007年7月27日(金)夕刊「紙つぶて」欄に掲載
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