2009年10月1日木曜日

60歳を迎える共産党中国の今後の行方は?

 2009年10月1日、中華人民共和国成立60周年の記念パレードが北京で行われた。前半は軍事パレードで、中国の軍事力を国内外にアピールした。後半は文化・社会的なパレードで、中国社会の繁栄ぶりをアピールした。
 私は「中国の文化」という授業を、このパレードを中継する大学のレストランで行うことにした。これを通じて中国をもっと理解してもらうのが狙い。
 中国からの留学生の多数は、テレビに釘をつけたように熱心に観て、感動をつぶやいている人もいた。しかし、日本人の学生はほとんど無関心のようで、携帯メールやゲームをしていた。言葉が通じないのもあるだろう。勉強意欲がないのもあるだろう。
 私はどちらかというと、冷静な視点で中国のこの一幕を観ていた。
 後半の文化や社会発展を示すパレードはそれなりの中国の発展ぶりをアピールするものとして素晴らしいものだと思った。しかし、前半の軍事パレードを観るときは、中国人の多くは感動する、誇りを感じるかも知れないが、それを観ている全世界の外国人はどう思うだろうか。
 かつて貧しい中国、弱い中国、欧米列強や日本帝国主義に虐められ、呻吟する中国から、60年間を経て世界で2番目の強い国(購買力平価GDPで日本の2倍の経済力を備えている)になった中国を13億中国国民、そして世界にアピールすることに対しては、中国で生まれ育ちの私も感動するし興奮するのである。
 しかし、全ての物事には二つの側面がある。中国が強くなったとしたら、周りの他の国は相対的に弱くなったということになる。つまり、弱くなったものに自分の強さを過度にアピールすると、周りから怖さを感じる可能性は十分ある。つまり、軍事パレードは中国としては誇りと自信の表れであろうが、周りの諸国から観ると「脅威」と受け止めるのは自然であろう。
 軍事的に、経済的に強くなった中国は今後世界に対して、周辺の諸国に対してどのように振る舞うだろうか。心配する人は少なくないだろう。中国出身の私さえも心配を感じているから。
 かつて、中国の歴史には「覇道」と「王道」という言葉がある。「覇道」というのは力によって周辺国を押さえつけ、覇権的な政治をやることをいう。「王道」というのは高邁な道徳をもって、周りの国を感化しながら、お互い協力して発展していくこと。
 今の言葉で言うと「覇道」は「ハードパワー」(強い経済力に基づいた軍事力)、「王道」は「ソフトパワー」(文化力と創造力」という風に解釈できるだろう。
 巨大国になろうとする中国が、今の時代に軍事力を世界に見せ示すことは、
中国に対するマイナスのイメージを増長するだけではなかろうか。
 60歳になった中国は、老人のように惚けないでほしい。
 「和諧社会」を目指す中国は、周りの諸国にも「和」のイメージをもっとアピールし、軍事力をアピールする必要などなにもない。アピールしなくてもすでに中国に対して脅威論を唱えているのだから。
 やたらに自国の軍事力をアピール(国民と世界に)しているのは、今の時代では恐らく北朝鮮と中国くらいだろう。
 北朝鮮は自分の弱さに自信がないから、軍事パレードをしたり、先軍政治をしたりして、国民を統合し、周辺国と対抗しようとする。
 中国はどうなのか?このパレードを観て、中国はまだ未熟で、国民に良い政治を行う自信が足りないのではないかと思わざるを得ない。

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